「デジタルなおもてなし」
イノベーション開発部の大島です。
朝夕はすっかり涼しくなり、秋の気配が濃くなる季節になりました。 先月の話になりますが、ふと自宅の庭に目をやると、9月だというのにアジサイがひとつ小さく咲いているのを見つけました。いわゆる「狂い咲き」です。 夏の猛暑のあとに急な寒暖差や長雨が続いたことで、植物が「梅雨が来た」と勘違いしたのが原因だそうですが、自然界のこうした「予定外のサイン」にはいつも驚かされます。

さて、こうした季節外れの予兆とまではいきませんが、私たちの身近なインターネットの世界でも、「ユーザーがまだ言葉にしていない変化や予兆」を敏感に察知する技術が日々進化しています。
例えば、ネット通販や動画共有サイトで、「ちょうど気になっていた商品」や「見たかった動画」が絶妙なタイミングで画面に表示された経験はありませんか? これは一般に「レコメンド(おすすめ)機能」と呼ばれます。今回は、その裏側でどんな技術が動いているのか、そしてその技術が今、ネットショップの枠を超えてどのように進化しているのかを解説します。
【1】単なる「キーワードの一致」ではない?裏側で動く仕組み
ひと昔前のレコメンド機能は、「最新ゲームを買った人には、次回訪問時に類似の最新ゲームをおすすめする」といった単純な仕組みが主流でした。「最新」「ゲーム」といったタグやキーワードの一致によってアイテムを選んでいたためです。
しかし現代のシステムはよりスマートになり、主に2つの高度な計算が行われています。
(1)「足跡の順番(文脈)」までデータ化する
現代のシステムは、生成AIなどと同様に「次に選ばれる確率の高い情報」を予測する仕組みで作られています。 その際、単に「何を選んだか」だけでなく、「どんな順番でページを巡ったか」という時間の流れ(文脈)も捉えています。
例えば、以下の2パターンではユーザーの目的が大きく異なります。
・ケースA:「スマホ本体」を見る ➔ 「保護フィルム」を見る
・ケースB:「保護フィルム」を見る ➔ 「スマホ本体」を見る
ケースAは「本体の購入が決まり、アクセサリを探している」状態ですが、ケースBは「画面が割れてフィルムを探しに来たが、本体ごと買い替えるか迷っている」状態かもしれません。 AIはこうした行動の順番を数値データに変換し、ユーザーが今どんな状況にいるかを文脈から判断しています。
(2)「全体のトレンド」と「個人の好み」のバランスを調整する
システムは、全ユーザーの膨大な行動データ(集合知)を以下2つの視点で活用しています。
・マクロ視点(トレンド):「今、全体で急速に売れている話題の商品」を把握する
・ミクロ視点(パーソナライズ):「自分と行動傾向がよく似たユーザー群」の行動を分析する
この「全体トレンド」と「個人の好み」を絶妙なバランスで掛け合わせることで、「自分の好みに合っていて、かつ今話題になっているもの」をピンポイントで提案できるのです。
【2】「商品を売る」から「困りごとを解決する」へ
これまで進化を続けてきたレコメンド技術ですが、最近ではECサイトの販売促進だけでなく、業務用のクラウドサービスやWebアプリにおける「ユーザー支援(先回りサポート)」へと活用範囲が広がっています。
・操作で迷う前の「先回りヘルプ」
「設定画面A」の後に「設定画面B」へ進んだユーザーは、特定の項目で躓きやすい……といった行動パターンがあるとします。システムがこの順番を検知すると、ユーザーが困る手前のタイミングで「ここでお困りではありませんか?」とピンポイントな操作ガイドを表示します。
・業務を効率化する「機能の提案」
自分と似た使い方をしている他ユーザーのデータから、「まだ使われていない便利な機能」を通知し、業務の無駄を自動で削減します。
【おわりに】データ分析が目指す「デジタルなおもてなし」
今回ご紹介したレコメンドの仕組みは、AIの進化に伴い今後さらに多様な分野へ広がっていくと考えられます。 これらの技術の本質は、単なる自動化ではなく「ユーザーが次に何で迷うかを予測し、ストレスを解消すること」にあります。
弊社においても、提供するクラウドサービス等へこうしたレコメンド技術の導入を検討しています。 業務の手助けや適切な選択肢の提示など、まさに「デジタルなおもてなし」として皆様の体験価値を高められるよう今後に向けて準備を進めております。ぜひご期待ください。

















