令和3年版「漢字のさがしかた」
リーガル漢字担当の網本です。2016年(平成28年)3月22日より、登記オンライン申請の文字について、登記統一文字が利用できるようになり、申請者が作成した外字(ビットマップファイル)の挿入機能が廃止されました。これによって外字は完全に「作るもの」から探すもの」へと変わりました。
しかし、どのシステムを使っても、目当ての漢字を検索するというのはなかなか難しいものです。そこで最強の「文字情報基盤検索システム」を利用した漢字探しのテクニックをご紹介します。
これは何度かご紹介している「IPA MJ文字情報検索システム」の現在の姿です。昨年2020年8月に、IPA 独立行政法人情報処理推進機構の「文字情報基盤」の成果物が一般社団法人文字情報技術促進協議会へ移管されたため、名称やURLが変わっています。
申請用総合ソフトなどでの漢字検索は「読み/画数/部首」の複合指定、もしくは文字コード指定(戸籍統一文字番号 又は諸橋 大漢和 辞典文字 番号)で行います。そこで、まず先に文字情報基盤検索システムを使って
①文字情報基盤検索システムで検索する。
②検索結果に戸籍統一文字番号がある場合はコード入力する。
③検索結果に戸籍統一文字番号がない場合は、検索結果の「読み/画数/部首」を使って検索する。
という手順をお勧めします。
注意点としては、文字情報基盤は「登記固有文字」(戸籍統一文字の文字)のうち、住基統一文字に含まれる1111字以外の9051字を収録していません。このため文字情報基盤でも「すべての登記統一文字を検索できるわけではない」ということがあります。しかしこれらの文字は使用回数のごく少ない、稀な文字なので、実用上はほとんどの登記統一文字を文字情報基盤で検索できる。と言ってよいと思います。
さて今回は、文字情報基盤検索システムの利用テクニックをご紹介します。「簡易検索」と「詳細検索」の2つの検索画面があります。「簡易検索」は検索窓1つのシンプルなものですが、検索ボタンの隣のiにカーソルを合わせると指定可能な条件が表示されます。
下記の通り判別して検索します。
漢字:単漢字
ひらがな:読み
カタカナ:音読み
1~2桁数字:画数
MJ6桁数字:MJ文字図形名
6桁数字:戸籍統一文字番号
J+4桁16進数:住基文字
U+4~5桁16進数:UCS
これらを組み合わせて指定できます。部首の指定方法は無いので、部首を指定したい場合は「詳細検索」を利用することになります。
異体字を探す場合、漢字を直接指定する、という方法があります。「龍」「隆」「薩」などで検索してみてください。ただしこれは完全ではないので、目指す文字が見つからない場合は、他の検索方法も試してください。簡易検索の「邊」では11字しかヒットしませんが、詳細検索で「ヘン しんにゅう」で検索すると、別の字もありますけどもっとたくさん「邊」の異字体を拾ってきます。
読みはきほんの検索条件ですが、注意が必要なのは、音読みはカタカナ、訓読みはひらがなで指定する、ということです。うまく検索できない場合やどちらか自信が無い場合は、両方試すとか似た字を検索して見て確認するとかがよいでしょう。
画数は1~2桁とありますが、実際に試したところ現状は64が最大値のようです。画数は10-12といった範囲指定も可能です。画数もうまく検索できない場合の原因のひとつなので、範囲指定でざっくり検索して絞っていくとよいでしょう。
まだ「文字情報基盤検索システム」をブックマークしていない方は、上記のリンクから飛んでみてください。40-64 といった条件で検索すると、画数の多い字が検索できます。なかなかインパクトの強い文字たちばかりなので、是非一度お試しください。
参考
登記統一文字 - Wikipedia
グループ:文字情報基盤-登記固有文字 - GlyphWiki