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2013年12月24日 (火)

競売の配当計算について

こんにちは。法務部の重松です。
先日、仕事の関係で不動産の競売手続に関わる機会がありましたので、本日は競売における配当計算について取り上げてみたいと思います。

不動産競売とはご存知のとおり、不動産を担保に金銭を借りていた人が弁済できなくなったために、債権者が裁判所に申立てて、対象となる担保不動産を競売し、その売却代金から返済を受ける制度です。
通常、複数の債権者が同一の不動産に担保権を設定しているため、売却代金をもってしても全額の回収ができない場合がほとんどです。
そこで、競売によっていくら回収できるか、つまり配当金額がいくらになるかというのが、1つの大きなポイントになるかと思います。
では、配当計算はどのように行うのでしょうか。

例えば、次のように2つの土地に共同抵当権が設定されていて、一括競売となった場合はどうでしょう。

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これは、皆さんもご存知のとおり、複数の不動産に共同抵当権を設定している場合は、各不動産の価格に応じて債権の負担を按分して計算しますので、A銀行の債権4500万円を甲土地の価格割合(2/3)と乙土地の価格割合(1/3)で按分し、A銀行への配当額を算出します。
次に、第2順位のB銀行へは、A銀行への配当額を差引いた金額が配当されますので、最終的に、次のようになるかと思います。

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では、次のように共同抵当権の一方に同順位の抵当権が設定されていた場合は、どうでしょう。
実際には、このような担保のとり方は稀かと思いますが、頭の体操と思ってお付き合いください。

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A銀行の抵当権は甲土地、乙土地の共同担保であるため、先のように、各不動産の価格に応じて債権の負担を按分する必要があります。
ただし、甲土地にはB銀行も同順位の抵当権を有するため、甲土地に対してA銀行が有する価値(不動産価格)は4000万円となるのでしょうか。

これについて、最高裁判例(最判平成14年10月22日)によると、同順位の抵当権が設定されている場合、各債権者の債権額に応じて不動産の価格を按分し、自身の有する不動産の価値(価格)を求めた上で計算するようです。

具体的には、A銀行の有する甲土地の価値は、甲土地の価格4000万円×Aの債権額÷(Aの債権額+Bの債権額)=3000万円・・・① となります。
ですので、A銀行の共同担保の計算をする場合、甲土地の価値①(3000万円)と乙土地の価値(2000万円)で債権額4500万円を按分しますので、次のようになるかと思います。

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配当計算と一口に言っても、バリエーションによっては複雑で、奥が深いですね。



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