「5G」と「AI」
こんにちは。イノベーション開発部の野村です。
今回は2020年の実用化・商用化に向けて規格化が進められている第5世代移動通信システム「5G」とAIについて、お話をしたいと思います。
「4G」までは携帯電話やスマートフォンの普及を後押しするため、通信速度が主眼に置かれていました。「5G」では通信速度の飛躍的な向上と共に、現在急速に進んでいるIoT化に対応できるよう「同時多接続」や「低遅延」も目標とされています。
IoT時代では、日常生活で利用している様々なデバイスがインターネットに接続されます。その数は数兆個と言われており、その数は今後さらに増え続けていきます。これらのデバイスが一度に通信を行うと、アクセスポイントへの同時接続数、通信量、遅延が大きな問題となります。特に自動車の自動運転やロボットの遠隔操作などでは遅延が致命的な問題となってしまいます。これらの問題を解決するための規格が「5G」と呼ばれるものです。
また、安定した通信インフラとして5Gを実現するためには、インフラの通信機器の仮想化も不可欠と言われています。従来は要件に応じて専用機器を組み合わせることでインフラを構築してきましたが、サービスが多様化する将来においては、専用機器ではコストがかかりすぎてしまいます。専用機器ではなく汎用サーバー上でこれらを仮想化することができれば、必要に応じて機能を随時切り替えて運用できるようになりますので、トラフィックの急増や機器の故障などにも柔軟に対応できるようになります。
こうなってくると、トラフィックの急増や故障がないかを監視して、常に最適なインフラ環境に切り替えることが重要な業務となります。そこで、これらの業務をAIで自動化できるように現在研究が進められています。また、過去の事例を元に故障が発生する前に問題をAIが検知し、故障自体を回避できないかという研究も行われています。
これらをAIが行うためには様々な事例をデータとして大量に蓄積し、活用方法を学習していく必要があります。大量のデータを集めることから始まりますので、直ぐに実用レベルまでにはならないかもしれません。ただデータが集まれば解析はAIの得意とする分野です。また一度稼働すれば、自動的にデータを蓄積して今まで考えつかなかった新しい通信環境をAIが構築してくれる可能性もあります。
安定した通信インフラは、IoTだけでなく様々なネットワークサービスを展開する上でも根幹となりますので、是非実現してもらいたいと期待しています。