外れ馬券は「経費」となり得るのか?
こんにちは、マーケティング営業部の松中です。
もう11月になり、朝晩がかなり冷え込んできました。この時期1日の寒暖差が10℃くらいになりますので、体調を崩しやすい方もいらっしゃるようです。皆さんお体ご自愛下さい。
この時期は競馬好きな方は週末をワクワクしながら過ごしている方も多いのではないでしょうか。短距離王決定戦のスプリンターズステークスを皮切りに師走のグランプリレース、有馬記念までほぼ毎週GⅠレースが開催されます。短距離戦、中長距離戦、ダート戦、牝馬限定戦・・・様々なジャンルのレースがプログラムされておりますが、春シーズンのGⅠレースは東京優駿(ダービー)、優駿牝馬(オークス)といった3歳馬の頂点を決定付けるレース(いわゆるクラシック競争)が多く開催されているのに対し、秋シーズンは秋の天皇賞、ジャパンカップ、有馬記念といった古馬(4歳以上)の王者決定戦といった印象があります。ただ最近の傾向としては3歳馬も3歳牡馬クラシック戦線最終戦の菊花賞(京都3000m)には向かわずに、最初から天皇賞(東京2000m)を目指す馬が増えてきました。その馬の距離適正からそうした方がいいと陣営が判断しての事です。これはこれでまた競馬の妙味の1つです。3歳限定戦では一線級の活躍してきた馬が歴戦の古馬を相手にどう戦うのか? 通用するのか? といった面白みが出てくるのです。「競馬はブラッドスポーツ」という言葉があるように血統によって得意路線・不得意路線というのが如実に現れるのです。距離適正以外にもダート戦で本領を発揮する馬や、はたまた東京コースでのみ好走して中山コースではてんで走らない馬、逆に中山コースで鬼のような強さを発揮する馬、など限られた特定の条件でも血統が影響を及ぼす事も少なくありません。このあたりは語りだすとキリがありません。競馬の面白い所です。
さて競馬と言えば気になっている裁判があります。「外れ馬券は経費となり得るのか?」を争点とした裁判で、要約しますと5年間で約35億1千万円もの馬券を購入し、36億6千万円の払い戻しを受けた元会社員の男性が「勝った約1億5千万円を大幅に上回る8億1千万円を課税されたのは不当である」とし、国税局による課税処分の取り消しを求めた訴訟です。
私は競馬を始めてから20年程経ちますが、下手の横好きで大きく儲けた事は皆無ですので、(泣)今まであまり気に留めたことはなかったのですが、調べてみると競馬で儲けた場合でも税金が発生します。儲けたお金は「一時所得」として見做され、50万までは特別控除が認められる為、具体的には50万円超儲けた場合には課税対象になります。現状の制度では、この当たり馬券の「購入費」は購入した馬券のみにしか認められていません。例えばあるレースで5点勝負でそれぞれ1万円購入して合計5万円分馬券を購入した場合、1点が的中した場合はその1万円のみにしか「購入費」として認められないことになります。極端な話をすると1年間ずーと負けっぱなしで例えば200万円くらい損をしていた人が1年の最後のGⅠレース有馬記念で100万円の馬券を取ったとしたらその100万円(正確には100万-その馬券の購入額)に対して税金が課せられます。今まで損をしていた200万円は「購入費」として控除対象にはならないんですね。。。FXや投資信託といった金融商品は年間トータルの儲けに対して課税される形かと思いますが、競馬などの公営ギャンブルでは一切考慮されません。もし考慮されればゴール後に馬券を宙に投げ捨てる光景も見られなくなると思いますが・・・。
話を元に戻しますが、今回の「外れ馬券訴訟」では「営利目的の継続的行為」として雑所得とみなされる基準について、「回数や頻度、規模も当然考慮に入れるべきだ」と指摘し、その上で男性が5年間にわたり週末のほぼ全レースを対象に機械的に賭けて利益を得ようとした実態を重視。男性が得た払戻金は雑所得に当たり、脱税額は5200万円にとどまる。と結論づけまして、一審、二審共に「外れ馬券を経費と認める」との判決が出ました。検察は最高裁へ上告しました。最高裁で最終審判が下される事になります。
ほんの一昔前は競馬場やウインズといった場外馬券場に出向いて馬券を購入していましたが、今やインターネットで簡単に馬券が買うことが出来てしまいます。この男性のようにパソコンにソフトを組み込み、過去の膨大なデータを入力して機械的に大量に購入し続ける人も居ます。昔と今では馬券の買い方が変わってきているのが実情です。今後の制度の変更も含めて今回の裁判は非常に興味深く見ております。
昔からの競馬ファンからすると、自分なりになんやかんやと研究してレースの予想をしたり、その予想を元に馬券を購入したり、レースを見たりするのが純粋に楽しく、それで儲かれば更にめちゃくちゃ嬉しい訳であります。また競馬は本当にかけがえのないドラマだと思っております。純粋にドラマチックなレースを観戦して感動する事ができるという事が競馬の一番の魅力だと思っております。今年の秋競馬はどのようなドラマが待っているのでしょうか!楽しみな週末が続きます。