ガバメントクラウドと行政事務標準文字
お久しぶりです。リーガル漢字担当の総務部・網本です。
前回、「IPAmj明朝フォント」をインストールすることにより、MJ文字(JIS X0213+戸籍統一文字+住基統一文字の計58,862文字)を利用できる環境が整えられる、というお話をしました。ただし、すべての文字を利用するためには、アプリがUicnodeとIVS(Ideographic Variation Sequence:文字の異体字を使い分けるための仕組み)に対応していることが必要です。メモ帳やMicrosoft Office、ChromeやEdgeなどのWEBブラウザーはIVSに対応していますが、すべてのアプリがUicnodeとIVSに対応しているわけではありません。
個人レベルではIPAmj明朝フォントとMicrosoft OfficeですべてのMJ文字が利用可能です。しかし、業務・業種の専用アプリや、省庁や自治体のシステムなどでは、システムがMJ文字に対応しなければ利用することはできません。また、実際には現状のMJ文字では、基になっている戸籍や住基ネットの業務をカバーすることは出来ず、それぞれ現場では大量の外字が使われているらしいのです。
現在、省庁や自治体のシステムについては「ガバメントクラウド」という構想がデジタル庁主導で実現に向けて進められています。デジタル庁は、各府省庁で利用する約1100の政府情報システムすべてをガバメントクラウドに移行することを求めているそうです。また、全国1741地方公共団体が20業務のシステムを標準準拠システムに移行する「地方公共団体の基幹業務システムの統一・標準化」においても、ガバメントクラウドの利用を努力義務としているそうです。
この「ガバメントクラウド」構想における文字要件については、現在「地方公共団体情報システムにおける文字要件の運用に関する検討会」という会議が開催されています。ここでは、文字要件について、MJ文字に標準準拠システムの運用上必要な文字を絞込んで追加して「MJ+」という文字セットを作成し「外字の要らないシステム」を目指しています。現在「MJ+」は「行政事務標準文字」と呼ばれています。
今まで漢字に関する情報を追ってきて過去の会議の内容などを見ることもありましたが、ほとんどが「ずっと前に終了した会議」でした。今回、まさに現在進行中の会議を追える、というのは初めての体験で、感動と興奮を感じています。これからは「行政事務標準文字」の動向について皆さんに紹介していければ。と思っています。
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ガバメントクラウド|デジタル庁
https://www.digital.go.jp/policies/gov_cloud/
次年度ガバメントクラウド利用料約150億円をデジ庁が負担、自治体負担は25年度から | 日経クロステック(xTECH)
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/news/18/16469/
ガバメントクラウドとは? デジタル庁とNISCに聞く活用のポイント
https://wisdom.nec.com/ja/feature/government/2024011501/index.html
出典:デジタル庁 地方公共団体情報システムにおける文字要件の運用に関する検討会(第1回)