いわゆる「ネタバレサイト」が著作権侵害
こんにちは、イノベーション開発部の津田です。
昨年ブログを投稿した時期に比べると、世間はどこへいってもコロナ、コロナでなかなか外出できない状況が続きますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。今回ブログ記事に何を書くか迷っていましたが、興味深い判決が3月26日に東京地裁ででたので、それについて少し書きたいと思います。
この裁判の対象となったのはいわゆる「ネタバレサイト」で、漫画の発売日に漫画そのものでなく、セリフをすべて抜き出し、無断でHPに掲載し、閲覧数を稼ぎ広告収入を得ていたサイトが、著作権侵害にあたるかということです。
漫画の著作権に関して、数年前にあるサイトが、漫画そのものをHPで掲載して著作権侵害となり、後に運営者が逮捕された事件は記憶に新しいと思います。最近は手を変えて漫画そのものではなく、セリフをまるごと掲載する手段が取られていたとは…
私自身ネタバレサイトというものはまったく知らなかったので、この件で興味がでて検索してみました。セリフだけを掲載しているサイトや、一部シーンとセリフ、感想等を組み合わせたものを載せているサイト等いろいろなものがあるようですが、共通して言えるのは漫画を買わずとも該当サイトを見ればネタバレになることは間違いありません。
著作権に関しては、複製権、演奏権、上映権、公衆送信権、⼝述権、展⽰権、頒布権、翻訳・編曲等による2次著作物作成権など様々な権利が認められており、これらの⾏為を著作権者以外の者が⾏うと著作権侵害となります。ただし例外的に、私的複製(30条1項)、引⽤(32条1項)、⾮営利無報酬演奏(38条1項)などは著作物の利⽤促進等のため認められております。いわゆるパロディも許容されていると⾔えます(最判昭和55年3⽉28⽇)。
著作権は様々な権利が包括されていますが、このいわゆるネタバレサイトに対して今回明確に複製権、公衆送信権侵害にあたるとされて、サイトの発信者情報の開示を命じる判決が言い渡されました。そのため、今後は現在あるシーンの一部やセリフを掲載したネタバレサイトは徐々に消えていくかと思います。
漫画そのもののアップからセリフのアップに姿を変えて著作権違反が行われていることがわかりましたが、今後はどういった手段で法の網をくぐり抜けるのか、またそれに対抗して著作権者をどのように保護していくべきかを考えるきっかけになったなかなか興味深い判決でした。