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2018年5月14日 (月)

「正しい字」とはなにか

こんにちは総務部の網本です。
「正字」という言葉があり、戸籍統一文字の詳細情報に「親字・正字」という項目があります。戸籍統一文字の使い方には、正字の説明はありませんが、「親字」は「漢和辞典等で見出しとして掲げる字」と説明されています。正字も同じ意味と考えてもよいでしょう。

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当用漢字表(昭和21年)と当用漢字別表(昭和23年)では、漢字の読み書きを平易にし正確にするために、「異体の統合、略体の採用、点画の整理など」といった字形の変更が行われました。しんにょうの点を1つにしたり、食へんの形を「食」にしたり、とかです。現在でも使われている常用漢字(昭和56年,平成22年)は事実上その字形の変更を引き継いでいます。

当用漢字の字形変更に伴い、「漢和辞典等で見出しとして掲げる字」の字形も常用漢字準拠となりました。それまでの字形は「いわゆる康熙字典体」と呼ばれています。これは「康煕字典を典拠として作られてきた明治以来の活字字体」ということだそうです。当用漢字~常用漢字の字体は「新字体」とも呼ばれています。つまり、当用漢字の登場によって「正字」が変わったわけです。

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写真は、砥部町の広報誌「砥部町報」昭和十五年一月号です。公文書ではないものの、自治体の広報誌ですから「正しい字」が使われていると思われます。まず目につくのが「号」が「號」になっていること。「神」「福」「祖」「祝」「祈」はしめすへんが「ネ」ではなく「示」になっています。「しめすへん」なんですから本来は「示」ですよね。「迎」「近」「遠」「邁」「進」「運」のしんにょうは点が2つです。その他、来→來、国→國、栄→榮、数→數、当→當、発→發、亜→亞、実→實、覚→覺、会→會、広→廣、寿→壽、霊→靈、為→爲と、ざっと眺めるだけでもこれだけの文字が「いわゆる康熙字典体」です。他にも点の角度とかが現在と異なるものが結構あります。当用漢字/常用漢字が定められるまではこれらが「正しい字」=正字だったのです。

現在の新字体に対してこれらを「旧字」「旧字体」と呼ぶこともあります。戸籍情報オンラインシステム標準仕様書では「旧字」を「常用漢字・人名用漢字公布以前に異なる字形で広く用いられていた字体の字。」と定義しています。

「正しさ」は時代や規則によって変わります。それとは別に「元々のものと同じであること」という「正しさ」もあります。絶対的な正しさというようなものは無くて、何を基準として正しさを考えるかが重要、ということです。難しいですね、正しいって。

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