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2022年12月26日 (月)

再婚禁止期間の廃止

 こんにちは、イノベーション開発部の門岡です。
 令和4年10月14日、民法等の一部を改正する法律案が国会に提出されました。この改正案では、親子法制に関する改正内容がいくつか盛り込まれておりますが、今回は、「嫡出の推定の見直し及び女性に係る再婚禁止期間の廃止」について、取り上げてみたいと思います。
 現行民法733条1項では、女性についてのみ「百日」(前婚の解消又は取消の日から起算して)の再婚禁止期間を設けています。これについては、平成27年12月16日の最高裁大法廷判決において、女性について「六箇月」の再婚禁止期間を定めた民法733条1項(当時)のうち、「100日を超えて再婚禁止期間を設ける部分」が違憲であると判断され、これを受けて、違憲状態を解消するため、女性の再婚禁止期間を「百日」に改める等の措置を講ずる「民法の一部を改正する法律案」が国会に提出された経緯があります。
 そして、平成28年6月1日に民法の一部を改正する法律案が可決成立しましたが、その際の附則において、施行後3年を目途として再婚禁止に係る制度の在り方について検討を加える旨の規定が設けられました。
 令和4年10月14日の民法等の一部を改正する法律案では、これまでの最高裁判決や法改正の経緯を踏まえ、再婚禁止期間が撤廃されています。
 そもそも女性についてのみ再婚禁止期間が設けられていた理由については、民法が規定する嫡出推定規定(民法772条)との関係で、嫡出推定の重複を回避するためと解されていますが、そこでは「懐胎(妊娠)は婚姻関係のもとでのみ生じる」ことを前提としており、現在ではそうした嫡出推定の考え方自体に疑問が呈されています。
 例えば、離婚協議中の場合等を念頭に置くと、そうした場合には前婚の夫ではなく新しいパートナー(将来の後婚の夫)の子を懐胎(妊娠)する確率の方が高いといえるでしょう(別居中であればなおさらです)。
 また、従来から嫡出推定の原則に基づいて法律的には前婚の夫の子として扱われることを避けるため、母親が出生届を出さないケースが生じており、結果的に子どもが「無戸籍」となり、住民票がなく、学校に通えない等の不都合が生じているようです。
 今回の「嫡出の推定の見直し及び女性に係る再婚禁止期間の廃止」では、「懐胎(妊娠)から出産までの期間に数回の婚姻がある場合、出生直近に婚姻した夫の子どもと推定する」と定められており、改正案が成立すると、離婚後300日以内に生まれた子どもであっても、再婚すれば再婚相手が父親と推定されるので、父親の推定規定が重複する不都合はなくなると思われます。

Syussan_akachan



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